第3回定例会 一般質問 1 みんなサードプレイスがほしい
誰もが仕事場や学校 そして家庭以外の心のよりどころとなる居場所が欲しい。そう考えているのではないでしょうか。男性も心のよりどころ、心の支えになる居場所つまりサードプレイスを求めている。でも男性はどうもサードプレイスを見つけることが下手なのではないか。このような問題意識からきょうは一般質問をスタートします。
サードプレイスとはアメリカの社会学者 レイ・オルデンバーグが提唱したもので大きく分けて3種類あると言われています。ひとつはマイプレイス型。個人が時間を気にせずゆったりと過ごす。スターバックスやドトール 狛江でいえばK-BASEさんのようなカフェは都会では貴重な場所と言われます。一人でお店に入っても、周りが知らない人ばかりでもなぜか安心感を得られる場所です。今朝までパラリンピックが開催されたパリの「オープンカフェ」もサードプレイスに位置づけられます。従来の日本の道路占用制度では、公道にオープンカフェを設置するのは難しかったのですが「ほこみち制度」によって公道でのオープンカフェが営業できるようになったとうかがいました。夏場の暑い時期を除いてオープンカフェは市民にも歓迎されるのではないでしょうか。
二番目は社交交流型
なじみの常連客が社交の場として集う居酒屋さんなどを指します。人間 誰でも歓迎される場所が欲しいものです。人々は自宅や職場以外に歓迎されたい場所を求めて温かみのあるお店に通ったりします。狛江市には他の町にくらべてこの社交交流型のサードプレイスが少ないのではないかと感じます。
三番目は目的交流型サードプレイス
これは何らかの地域活動としての目的を持ち自発的に人々があつまる場所を意味します。行政がかかわっていただけるのはこの目的型サードプレイスになると考えます。
Qそれでは 狛江市が現在 実施しているあるいは支援しているサードプレイスと考えられる施設の現状を確認させてください。 お子さんを対象にした施設から高齢者の方を意識した場所など 多種多様ではないかと思います。
【答弁:子ども家庭部長】
サードプレイスについては、いまご紹介いただいたように個々人にとって居心地の良い場所であるため、市として明確に指定しているものはございませんが、主に市内の児童・生徒が利用している学校・家庭以外の場所としてあげられるのが児童館・児童センターでございます。
また、多世代・多機能型交流拠点である「ふらっとなんぶ」、子ども・若者の居場所・学習支援事業を市民団体に委託して実施している「野川のえんがわ こまち」は、年代を問わずご利用いただくことができます。
その他にも図書館・公民館、地域・地区センターなどがサードプレイスになり得るものと考えております。
<小木>
確かに明確に定義するものではないものの狛江市には民間運営のものも含めて「サードプレイス」になると思われる施設がさまざまあることがわかりました。一方で私が狛江市にお住いの都心に通う50代の会社員の方から「狛江市にも語り合いができて、人の心に寄り添ってくれるサードプレイスがほしい」というご要望を受けました。どうも既存の施設に満足していない。あるいは存在が身近でないようです。おそらく各施設と利用者のマッチングの課題があるのかもしれません。施設の開館時間など利用可能時間に難点があるのかもしれません。
Q「今日 行きたいなあ 誰かに会いたいなあ」とふと思った時にそこがあいている。迎えてもらえる。それがサードプレイスとしては重要なのではないかとおっしゃる方がいます。「ふらっとなんぶ」の開館時間は午後5時まで児童館も小学生は午後6時 中学生は午後7時までしか利用できない。 開館時間を延長するのは簡単ではないのでしょうか。
【答弁】(子ども家庭部長)
児童館は地域において児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする児童福祉施設で、子どもが安全に安心して過ごせる居場所になることも役割の一つです。児童館における利用時間の夜間の延長については、低年齢層に関しては特に要望等はなく、開館時間については適切と考えておりますが、高校生くらいの年齢層に関しては一定のニーズがあるようです。ただ、開館時間を遅くすることについては職員体制の拡充、コストの増が伴うものであり、現時点では予定しておりません。
【答弁:福祉保健部長】
「ふらっとなんぶ」について、ご答弁いたします。
「ふらっとなんぶ」は、基本的にイベント時以外は平日のみの開館で、各機能ごとに開館曜日と時間を変えておりますが、高齢者を含む誰でも自由に過ごせるフリースペースは、午前9時から午後5時まででございます。開館時間の延長とのことでございますが、現在の利用状況や運営体制及び費用などを総合的に勘案し決定しているため、現在のところ、延長の予定はございません。
<小木>運営上の体制上の問題からどうしても夜 開館できないという施設ではサードプレイスづくりに情熱をおもちの一般の方にかしだすということはできないか。 モニターをご覧ください。 木下紫乃さんです。 大学卒業後リクルート社に就職。麻布十番のバーを日中 週一回だけ借りて40代 50代のミドルシニア向けキャリア支援のスナックを開業。心のよりどころづくりを進めてこられました。
出張でカフェを開設することもあり その場合にはお酒は出さないそうです。これまで悩める会社員およそ2000人の心をささえ、背中を後押ししてきた方です。今は 見知らぬ人どうしが気軽につながる「場」を提供する「スナック引きだし」を赤坂で大勢の仲間とともに運営されています。木下さんは株式会社HOKIDASHIも設立し ミドルシニア世代に関わる問題や男性だけでなく女性のキャリア、ダイバシティなどへの課題を抱える組織や個人に対して、「学び」を通して伴奏する支援を行っていらっしゃいます。地域で気軽に集まりつながる空間を作りたいという方の相談にも乗っていらっしゃいます。
Q 木下さんご本人でなくてもいいのですが このようなサードプレイスづくりに強い想いを持っている方に施設を貸し出したりはできないのでしょうか。
【答弁:福祉保健部長】
「ふらっとなんぶ」の夜間の活用でございますが、先程ご答弁いたしましたとおり、費用等のほか、住宅街にあることから、近隣の方々からは、開設にあたり、特に夜間に騒音が出ることがないよう配慮してほしいとの要望を受けていることもあり、今回、ご提案のような形態での夜間の居場所としての活用は、現在のところ、難しいと考えております。
【教育部長答弁】
公民館では、夜間、休日とも基本的には利用団体への部屋の貸出を行っていますので、原則としては、居場所づくりの活動についても団体登録をした上で、公民館を利用していただくことになります。
なお、各所管部署が居場所づくりの団体や居場所づくりに識見のある方と事業を行ったり、共催をする場合は、特別申請による貸出しが可能ですので、必要に応じて活用してもらえればと考えています。
また、公民館で実施している居場所連続講座には、居場所づくりを行っている地域の様々な団体が参加されております。公民館としても地域の団体と連携して、居場所づくりに寄与していくことが求められているのではないかと考えています。
<小木>
公民館の活用に光明あり。とのご答弁と理解いたしました。新しいタイプの団体をお迎えしていくのも大事なのではないかと思います。それにしても 私の年になりますと同期の人間が集まっても明るい話が出てこないんです。給料が下がった、仕事にやりがいがなくなってきた。男性に定年があるなら女性にもということで奥さんが家を出てしまい、挙句の果てに買ったマンションの権利もとられてしまう。
こんな悲惨なケースも飛び出します。「明日は今日より素晴らしい」と思えなくなってくるのは大変つらい。でも男はなかなか周りに気持ちをカミングアウトできない。実は男には悩みを打ち明ける相手に恵まれておりません。
Q 狛江市には男性専用の相談窓口はあるのでしょうか?男性も悩みを打ち明けて「楽」になったほうがいいと思います。あるいは男性専用でなくても構いません。男性も利用できる相談窓口はあるのでしょうか。あるとすると利用状況、相談者の年代、相談内容はどのようなものが主になっているでしょうか。
【答弁:企画財政部長】
男性専用の相談窓口はございませんが、性別を問わず、生きづらさや人に言えない悩み等を抱えている方を対象とした「こころのカウンセリング」を令和5年度より月に1回開設しております。令和6年8月末まで、相談枠はほぼ埋まっている状況ですが、男性からの相談は3件で、年代は40~60歳代、相談内容につきましては、家族関係や生き方、御自身の性格の悩み等についてでございます。
<小木>
男性からの相談は令和5年に始まって 10日前まででわずか3件ですか。老年学というジャンルの学問の専門家でいらっしゃる島影真奈美(しまかげまなみ)さんがおっしゃっておりました。
「男性がもっともっと心を開いて悩みを他人に相談し 楽になる事が家庭や職場での暴力やパワハラ対策を進めるためにも必要だ」現在 男性が人生の節目として悩みを抱えやすい年齢は60歳。あるいは65歳です。他の研究を御紹介します。
「定年退職による生活状況の変化への不適応は介護予防の面でも見逃すことのできない問題である。長年にわたり会社員生活を送ってきた高齢男性は、定年退職とともに職場との人間関係が途絶える。そして新たな生活の中心となる居住地域のなかで居場所を見つけることに苦労する高齢男性が多い」
今のミドルシニア以上の方々は平日は長時間労働に耐え土日は疲れて休息日。どうしても地域社会との関係が希薄です。そして突然 あるタイミングから地域で過ごす時間が増える。生きがいや人生の目標を見いだせなくなると結果として健康を損ない狛江市の健康保険や介護保険の運営にも影響を与える。大きな問題です。
うかがいます。Q地域にあまり接点をお持ちでないと思われる単身の方を選んでお誘いする事業があるとうかがっています。この事業内容を教えてください。
【答弁:福祉保健部長】
高齢者交流促進事業として、一人暮らしや転入後間もない方を対象に、一緒に楽しめる相手を探している人や、活動の場に出席することにより張り合いができて元気になりたい人等の出会いの場、継続的な交流の場を設けることを目的として、街歩きの講座を2コース設け、年間を通して継続的に活動を行ったところでございます。
【小木】
Q 転入後 間もない方を対象にしているというコンセプトがいいですね。参加者の男女比率はどうなのでしょうか?男性は地域活動に参加するのも誰かに後押しをしてもらわないとなかなか動かないとうかがいます。
【答弁】
本事業には、21名の参加がございまして、性別毎に振り分けますと男性4名、女性17名の内訳となっており、参加者全体に対する男女比率は2対8となっております。詳細な分析等は行っていないところではございますが、こうした参加型の事業につきましては、総じて女性の方の参加比率が高くなっている傾向となっております。
【小木】
どうも男性は 地域の活動や交流の場になかなか出ていかない。地域の人間関係と これまでの日本企業の人間関係にはかなりの違いがあることがネックになっているのでしょうか。
うかがいます。Q8公民館では高齢男性を強く意識したイベントはあるのでしょうか?以前は 男性のための料理講座が開講されていたときいています。
【教育部長答弁】
公民館では、平成25年度から平成29年度まで、普段、家庭では料理をする機会の少ない男性を中心に、簡単でおいしい料理を学び仲間づくりを行う「男の料理教室」を実施していましたが、参加者数の減少等により平成30年度以降は実施しておりません。現在も、男性を特に意識した講座等は行っておりません。
Q 公民館の料理教室で知り合った方々といまでもカラオケグループを作って楽しんでいる男性の方を存じ上げておりますが 全体として「男の料理教室」の参加者が減少した理由は何なのでしょうか?またその後 男性を特に意識した講座を行っていない理由を教えていただけますか。
【教育部長答弁】
「男の料理教室」の参加者が減少した理由としては、男性向けの料理教室が民間でも増えたこと、レシピ動画などがインターネットで簡単に見ることが出来るようになったこと等により、料理のつくり方を知る機会が増えたことが影響していると考えられます。
ライフスタイルの多様化等に伴い、公民館におけるニーズも多様化しており、ターゲットを男性に絞ると参加者を集めることが難しいテーマが多く、現状では男性を特に意識した講座は行っていない状況です。
<小木> ターゲットを男性に絞ってもなかなか参加者を集めにくい。理解いたしました。しかし 一方で積極的に民間の料理教室に通うなどアクティブな方もいらっしゃるようです。
Q狛江市にはさまざまな分野で活躍されてきたシニアの方が多くいらっしゃいます。こうした方のパワーを活かすことは狛江市の発展にも寄与します。狛江市でこれまで取り組んでこられたことはあるのでしょうか。
【答弁:福祉保健部長】
高齢者福祉分野での取組みにつきましては、これまでハローワーク等での就労に加え、シルバー人材センターでの就労的活動や老人クラブ等地域団体での活動、ボランティア活動等の紹介を中心に行ってまいりました。しかしながら、いわゆる元気高齢者、アクティブシニアの方が増加するとともに、ニーズも多様化してきておりますので、そうした方々のニーズ等にもこたえられる新たな取組み必要性を感じているところでございます。
<小木>Qシルバー人材センターで高齢者の方の得意分野や専門分野を講師として生かす講座が開設されています。現役時代に世界各地に長期間駐在されていた方が狛江市内に大勢いらっしゃいます。英会話講座など現在開設されている講座名、講師の方々の年齢や現役時代のお仕事、今現在 どんな講座があるのか。また特筆すべきエピソードがあれば教えて下さい。
【答弁:福祉保健部長】
シルバー人材センターに問合せをし、いただきました回答に基づき答弁いたします。シルバー人材センターでは、現役時代に培った英語が役にたてばという会員を講師とする英会話教室を平成21年から開講し、現在は初級から上級クラスまで6講座を開講しております。会員である講師は、70歳代を中心に活躍しており、現役時代は外資系企業で海外に赴任されていた方、以前から英会話の講師をされていた方などがいらっしゃいます。
このように、現役時代に培った経験や技術を生かした狛江市シルバー人材センター独自の事業は、英会話教室の他にパソコン教室、また教室とは違いますが、縫製作業を行う「衣服工房 ひまわり」がございます。 英会話教室のエピソードの1つといたしましては、海外の赴任先でできた現地の友人が来日した際、その友人を教室に招いたところ、思いがけずネイティブな英語が学べたと生徒さんから大変好評を得たことがあったと伺っております。
<小木>素晴らしいですね。狛江市の高齢者の方々の中には非常に高い専門性を持った方たちが潜在していると考えられます。ぜひこうした方たちが 狛江の社会の表舞台に出てこられる取り組みをお願いしたい。
Q 市では就労支援をはかる取り組みやボランティア活動に導くための仕組みはあるのでしょうか。取り組みの現場で感じられた課題があれば教えてください。
【答弁:福祉保健部長】
高齢者の社会参加と地域貢献による生きがいづくりを目的として、高齢者就労的活動マッチング事業を実施しております。事業内容といたしましては、高齢者の就労活動と介護予防との関係に詳しい専門家による基調講演を開催するとともに、シルバー人材センターやハローワークなど、就労活動の受け皿となる関係機関にブースを設置していただき、講演会終了後に、各ブースにおいて参加者の目的に応じた就労相談や就労経験者等との懇談等を行っていただきました。
令和5年度が初めての実施となりましたので、今後継続的に実施することで本事業の浸透を図っていく必要があると感じているところでございます。
【小木】
令和5年度に初めて実施された高齢者就労的活動マッチング事業。ぜひ今後も強化していただきたいと思います。。サードプレイスには3つのカテゴリーあると冒頭申し上げましたがいずれも 「マッチング」が重要だと考えます。広報活動もお願いしたいと思います。「広報こまえ」をはじめ 市の広報活動の中でも特集を組むなどの積極的な取り組みをお願いできないでしょうか。
最後に質問します。これまでの生き方とは違う分野での活躍を願っている高齢者の方もいるのでしょうか。Q12人材不足が指摘されている分野でリタイアされた男性に活躍していただくことはできないか。 これまでの社会経験を活かし、たとえば介護の分野で活躍していただけないか。もしかしたらこれまでお持ちの価値観の大幅な転換が必要かもしれません。それでも私もチャレンジしてみようと思うようになる講座が開設されれば これまでの職種とは違う分野で働いていただける可能性が広がるのではないかと思います。
【答弁:福祉保健部長】
退職等により地域に戻られた方が介護分野で活躍いただくための取組みとして、狛江市では現在、認定ヘルパー研修を年3回開催しております。こちらは、2日間の研修を受講し、登録いただくことで、介護福祉士などの資格のない方でも、狛江市認定ヘルパーとして、各事業所に雇用され、総合事業における訪問型サービスのヘルパーとして、従事することができるようになるものでございます。
業務内容につきましては、掃除・洗濯・調理などの家事援助のみとなりますが、毎回、数名の男性の参加者がいらっしゃいます。2日間の研修修了後には、半日程度の実習を実施するとともに、最終日には訪問介護事業所との面接会も開催するなど、速やかに就労につながるような工夫も行っているところでございます。
本研修は無料となっておりますので、介護人材の担い手として、介護分野への活躍の場として、ぜひ男性の方も含め、多くの皆様に参加いただきたいと考えているところでございます。
<小木>
お若い方は 誠心誠意 介護の現場で頑張られるそうですが そのことで疲れを感じてしまう。一方長年のビジネス経験がある方は自分でオンオフの調整ができる。退職などにより地域に戻られた方が 新しい介護の担い手になることを強く期待する現場の方もいらっしゃいました。どなたにも今日より素敵な明日が来ることを願いましてこの質問を終わります。